「朝も夜も、まったく同じスキンケア用品を使っている」という方は多いのではないでしょうか。もちろん、それが間違いというわけではありません。
しかし、一日の中で私たちの肌が置かれている環境や、肌自身の生理機能は、朝と夜で大きく異なります。
それぞれの時間帯の肌状態に合わせて、スキンケアの目的と使用するアイテム(特に美容液)を使い分けることで、より効率的に理想の肌へ近づくことが可能になります。
この記事では、皮膚科学的な観点に基づく朝と夜の肌環境の違いと、それぞれの時間帯に推奨されるスキンケアの目的、そして適した美容液の成分について解説します。
朝の肌環境とスキンケアの目的「防御」
朝の肌の状態
睡眠中に分泌された皮脂や汗、寝具のホコリなどが付着していますが、基本的には一日の中で最もリセットされた状態です。これから活動を開始する準備段階にあります。
朝の外的要因(ストレス)
これから始まる一日で、肌は様々な過酷な環境にさらされます。
- 紫外線(UV-A、UV-B): 光老化(シミ、シワ、たるみ)の最大の原因。
- 乾燥: エアコン、外気、湿度の変化など。
- 大気汚染物質: PM2.5、黄砂、排気ガスなど。花粉も含まれます。
- 酸化ストレス: 紫外線やストレスによって体内で発生する活性酸素。
朝のスキンケアの目的は守るケア
朝のスキンケアの最大の目的は、これらの外的要因から一日中肌を守り抜く「防御(プロテクション)」にあります。
- 保湿してバリア機能を高める
乾燥はあらゆるトラブルの元凶です。しっかりと保湿して角質層のバリア機能を整え、外部刺激の侵入を防ぐ準備をします。 - 抗酸化対策をする
紫外線などによって発生する活性酸素を無害化し、肌の「サビ(酸化)」を防ぐ成分をあらかじめ仕込んでおきます。 - 紫外線対策を徹底する
最後に必ず日焼け止めを塗り、物理的に紫外線をブロックします。
朝におすすめの美容液成分
- ビタミンC誘導体
優れた抗酸化作用を持ち、紫外線による活性酸素のダメージを軽減します。メラニン生成を抑制する働きもあるため、朝の使用は理にかなっています。 - フラーレン、アスタキサンチンなど
ビタミンC同様、強力な抗酸化作用を持つ成分です。日中の酸化ストレス対策に適しています。 - セラミド、ヒアルロン酸などの高保湿成分
日中の乾燥から肌を守り、バリア機能を維持するために不可欠です。メイク崩れを防ぐため、ベタつきにくいテクスチャーのものが好まれます。
夜の肌環境とスキンケアの目的「修復・再生」
夜の肌の状態
一日中メイクをして、紫外線や乾燥にさらされ、疲労や汚れが蓄積した状態です。バリア機能も低下しがちです。
夜の生理機能(肌の働き)
夜、特に睡眠中は、肌にとって「ゴールデンタイム」とも言われます。副交感神経が優位になり、成長ホルモンの分泌が活発になることで、肌の修復・再生機能が高まります。
- ターンオーバー(新陳代謝)の活発化
新しい細胞が作られ、古い角質が排出されるサイクルが進みます。 - ダメージ修復
日中に受けた紫外線などのダメージを修復する作業が行われます。 - 経皮吸収率の上昇
夜間は肌のバリア機能が一時的に緩み、成分の吸収率が高まるという研究報告もあります。
夜のスキンケアの目的は育てるケア
夜のスキンケアの目的は、一日の汚れを落とし、ダメージを受けた肌をいたわり、睡眠中の修復機能を最大限にサポートして「美肌を育てる」ことです。
- 徹底的なクレンジングと洗顔
メイクや皮脂汚れ、付着した汚染物質をしっかり落とし、肌をリセットします。 - 十分な保湿と栄養補給
失われた水分を補い、修復に必要な美容成分をたっぷりと与えます。 - 修復をサポートする積極的なケア
ターンオーバーを促したり、コラーゲン生成をサポートしたりする成分を取り入れます。
夜におすすめの美容液成分
- レチノール(ビタミンA)
ターンオーバーを促進し、コラーゲン生成をサポートするエイジングケア*の代表格。紫外線に不安定なため、夜の使用が基本となります。(*年齢に応じたケア) - ナイアシンアミド
シワ改善、美白*、バリア機能サポートなどマルチな効果があり、夜の集中ケアに適しています。(*メラニン生成を抑えシミ・そばかすを防ぐ) - ペプチド、成長因子(EGFなど)
肌の修復や再生をサポートする働きが期待される成分です。 - 油脂類(オイル)、こっくりした保湿成分
朝は敬遠しがちなリッチなテクスチャーのものも、夜なら安心して使えます。潤いを閉じ込め、肌を柔らかく保ちます。
まとめ
- 朝は「盾」
紫外線や酸化から肌を守るための抗酸化・高保湿ケア。 - 夜は「栄養剤」
ダメージを修復し、再生を促すための積極的なエイジングケアや集中保湿ケア。
このように、朝と夜で肌のモードが切り替わっていることを意識し、目的に合わせた美容液を選ぶことで、スキンケアの効果をより実感しやすくなるでしょう。


