ドラッグストアやデパートの化粧品売り場に行くと、きらびやかな「女性用化粧品コーナー」と、黒や青を基調とした「男性用(メンズ)化粧品コーナー」が明確に分かれています。
私たちは普段、それを当たり前のこととして受け入れ、「私は女性だから女性用を」「僕は男性だから男性用を」と、無意識のうちに自分の性別なりの売り場に向かっています。
しかし、ここでふと疑問が湧きませんか?
「人間の肌は、男女でそこまで決定的に違うものなのだろうか?」と。
近年、ファッションの世界でジェンダーレス化が進むように、美容の世界でも「性別」という枠組みを超えた考え方が広まりつつあります。
結論から言うと、スキンケアにおいて最も重要な基準は「性別」ではありません。あなた自身の「肌質」です。
この記事では、化粧品における「女性用・男性用」の違いの正体と、性別の垣根を超えて「肌質」で選ぶことのメリットについて解説します。
そもそも「女性用」「男性用」は何が違う?
メーカーは、なぜ化粧品を男女で分けているのでしょうか?
もちろん、生物学的な肌の傾向差(後述)はありますが、市場に出回っている多くの商品は、主に「マーケティング(販売戦略)」の視点で分けられています。
一般的な「女性用」と「男性用」の傾向を見てみましょう。
多くの「女性用」化粧品の特徴
- ターゲット層の悩み
乾燥、シミ、シワ、たるみ、くすみなど多岐にわたる。エイジングケアへの関心が高い。 - テクスチャー
しっとり、こっくりとした保湿力重視のものが多い。とろみのある化粧水や濃厚なクリームなど。 - 香り
フローラル系、ハーブ系など、華やかでリラックスできる香りが多い。 - パッケージ
ピンクや白を基調とした、柔らかく高級感のあるデザイン。
多くの「男性用(メンズ)」化粧品の特徴
- ターゲット層の悩み
ベタつき、テカリ、ニキビ、シェービング後の肌荒れなどが中心。 - テクスチャー
さっぱり、清涼感(スースーする感じ)重視のものが多い。水のような化粧水や、ベタつかないジェルなど。 - 香り
シトラス系、ミント系、ウッディ系など、爽快感のある香りや無香料が多い。 - パッケージ
黒、青、シルバーなどを基調とした、シンプルで機能的なデザイン。
このように、一般的な傾向に合わせて「香り・使用感・パッケージ」を最適化しているのが実情です。しかし、これはあくまで「傾向」であって、すべての女性、すべての男性に当てはまるわけではありません。
本質は「性別」より「個人差(肌質)」
生物学的に見ると、男性の肌は女性に比べて「皮脂量が約2〜3倍多く、水分量が半分以下」というデータがあります。つまり、男性は女性より「オイリーで、かつ乾燥しやすい(インナードライ)」傾向にあると言えます。
しかし、これはあくまで平均的な話です。
- 女性でも、 皮脂分泌が多くニキビに悩む脂性肌の人はたくさんいます。
- 男性でも、 乾燥して粉を吹いたり、髭剃り負けを繰り返したりする敏感肌・乾燥肌の人はたくさんいます。
重要なのは、戸籍上の性別ではなく、「今、目の前にあるあなたの肌がどんな状態か」という事実(=肌質)です。
「女性だからしっとりタイプを使わなきゃ」「男性だからさっぱりタイプじゃないと」という思い込みが、自分の肌に本当に合っているアイテムとの出会いを遠ざけているかもしれないのです。
「肌質」で選べば、選択肢はもっと広がる
「女性用」「男性用」のラベルを取り払い、フラットな視点で自分の肌質に合うものを探してみましょう。驚くほど選択肢が広がり、肌悩みの解決に繋がることがあります。
ケース1【脂性肌・ニキビ肌の女性】がメンズコスメを使う
「女性用の化粧水は、どれもベタついて不快…」「ニキビがなかなか治らない…」
そんな女性には、皮脂コントロールや抗炎症に特化し、さっぱりとした使用感で作られているメンズ用の化粧水やジェルが、実は相性抜群かもしれません。余分な油分を与えず、快適にケアできる可能性があります。
ケース2【乾燥肌・敏感肌の男性】が女性用コスメを使う
「メンズ用の化粧水はスースーして痛い」「保湿してもすぐに乾く…」
そんな男性には、保湿力に優れ、低刺激で作られていることが多い女性用(特に敏感肌用ブランド)の化粧水やクリームが救世主になるかもしれません。セラミドなどの高保湿成分は、乾燥に悩むすべての肌に必要なものです。
新しい選択肢「シェアコスメ(ジェンダーレスコスメ)」
最近では、最初から男女の区別なく使えるように設計された「ジェンダーレスコスメ」や、パートナーや家族と一緒に使える「シェアコスメ」も増えています。
シンプルなデザイン、好き嫌いの分かれにくい香り(または無香料)、どんな肌質でも使いやすいバランスの良い処方が特徴です。洗面台もスッキリし、一緒に使うことで会話が生まれるなど、メリットがたくさんあります。
まとめ
化粧品を選ぶ基準は、パッケージに書かれた「FOR MEN / FOR WOMEN」の文字ではありません。
鏡に映る自分の肌を見て、触れて、「今、何が足りないのか」「どんな使用感が心地よいのか」と対話すること。それこそが、本当に自分に合う運命のコスメと出会うための、唯一にして最大の基準なのです。
今日から、売り場の垣根を飛び越えて、もっと自由にスキンケアを楽しんでみませんか?


